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「ブレードランナー 2049」の感想と登場人物の感情について

投稿日:2017年11月4日 更新日:

こんにちは、そーさんです。

いやー、ついにみましたよ「ブレードランナー 2049」。

前作が面白かったから期待大だったんですけど、あまり評判がよろしくないようで「よろしい、では自分の目で確認しよう」と息巻いて映画館に突撃しました。

 

面白いやないかいボケ

 

という状態だったので、私も良かったよと伝えたいと思います。

私のサイトでは人の考えとか、悩みとかを主に取り扱っていますので、登場人物の感情について読み解いていきたいと思います。

当然のようにネタバレがありますので、ご注意下さい。

まぁ楽しみたいならここで読むより映画館に行ってくださいよ。

 

※本記事の画像はトレーラーより。

 

この記事を見る前に「本作を120%楽しむ方法」を伝授をご紹介

ブレードランナーの全てを見た私から本作の最高の楽しみ方をご紹介しよう。

 

前作「ブレードランナー」をみて、その後短編3つをみて、そのままの勢いを維持して劇場に駆け込み「ブレードランナー 2049」をみるのだ。

 

①Huluか何かで観ろ

前作のブレードランナーを観るのには「Hulu」なんかが良いだろう。

まだ登録していないなら二週間は無料である。

まずこれを観る。

「ブレードランナー」を観る

 

②短編3つを観ろ

そして終わったら短編3つを観る。

「ブレードランナー 2049」の前日談3つである。

既に100万再生以上行っているわけだから見なきゃ損損な内容なのだ。

 

作中語られる「大停電事件」を描いた前日談「ブレードランナーブラックアウト」

 

新しいタイプのレプリカントの誕生を描いた前日談「2036:ネクサス・ドーン」

 

ブレードランナー2049のまさに直前の前日談「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」

 

 

③映画館に行け

そしてこの記事から去れ。

行くべきは映画館だ。

 

終わった後に来ると良い。

 

主人公「K/ジョー」とストーリー

『画像は「K」とその彼女でAI(人工知能)の「ジョイ」』

 

主人公は人造人間(以下レプリカント)だ。

人間より優れた身体能力を持ち、感情を持ちながらそれを抑制する事を教えられ、人間のために労働に従事する。

しかし、レプリカントの暴動が何回もあったためか、人間からレプリカントに向けられる目線は厳しいものがあった。

 

レプリカントの製造番号からとって、名前は「K」。

彼女から呼ばれる呼び名(good joe「良い人」)から「ジョー」という2つの名前を持つ。

任務時はKと呼ぶので以下「K」と呼ぶ。

 

彼の任務とは過去の暴動を起こしたことがあるレプリカントの破壊。

特殊警察、通称「ブレードランナー」だ。

 

「K」の感情の変化を大きく前・中・後の3つ分けられる。

感情を抑制することを義務付けられたレプリカントがどのようにしてその運命を切り開くか?というようなテーマが垣間見られる。

というわけでざっくりと「K」の心の動きを追っていく。

 

前半の「K」の感情

徹底的に任務をこなす描写が続く。

一体のレプリカントの始末を行うところから始まるがそのレプリカントから「お前がやっているのはクソみたいな仕事だ」「奇跡を見たことがないからだ」と言われる。

何のことか分からないが任務は任務なのでそのレプリカントを処理する。

 

人造人間は見た目は通常の人間と変わらず、切ったら血も出る。

どうやら右目に製造番号が記載されているらしく、特殊な機械を用いて自分が処理した情報を本部に送る事で任務成功の可否を判断しているようだった。

 

そこでその処理したレプリカントの家の一本の木に目が止まる。

花が添えてあったのだ。(この世界観の花は珍しい、恐らく作中ここしか登場してないんじゃないかな)

その花の置いてあった地面の下に何か埋まっている事に気づき、掘り起こすように別の仲間に指揮をする。

結果その木の下の物が掘り起こされた。

 

地中には女性の白骨が眠っていた。

骨の損傷から妊娠の跡、帝王切開の跡が見つかった。

そして見つかってはいけないものが見つかった。

「この女性はレプリカントだ」

製造番号が見つかったのだ。

この世界でレプリカントが妊娠するなどあってはならない事だった。

いわばこれは「レプリカントの可能性」、あの処理したレプリカントが言っていた「奇跡」だった。

 

しかし、この「奇跡的事実」をブレードランナー捜査本部は隠蔽しようとした。

混乱を恐れたのだ。

 

「いい、この事実はなかった」

ボスのジョシにそう言われ「K」は「拒否権はありません」とだけ続けた。

『ボスのジョシ』(仕事に対して厳しいが、実はレプリカントに対しても人情味溢れる素晴らしい人)

 

それから家に帰る最中に「ブリキの兵隊」「犬」などと道すがら罵倒されても一切動じる事無く無言で帰宅。

家にはホログラムとAIで出来た恋人「ジョイ」が帰りを待っていた。

 

Kはジョイに「記念日にしよう」と小粋にアップデートを施し、任務へ同行出来るようにします。

 

レプリカントとAIの愛について

秀逸な組み合わせな男女だと思います。

レプリカントは人間ではない作り物。

AIもまた、人間を模して作られた感情のプログラム。

 

AIもレプリカントも「そうなるように作られたもの」には違いません。

人を愛するように、人を守るようにプログラムされているのですが、あまりにも複雑な感情だったために段々と規格外の感情を抱くようになります。

 

そんな彼らだから共鳴出来る部分もあったと思うのです。

一切触れられないのに愛し合う二人。

究極のプラトニックラブを体現しているかのようなカップリングではありませんか!

 

「愛として成立しているようにみえる」からこれも愛なのでしょうか?

この世界ならAIと人間の愛もありますでしょう。

智愛とでも表現したほうが良いのでしょうか?

変な感覚に陥った前半のシーンでした。

 

ともかくK(と、後から出てくるデッカード元刑事)は知性を愛していた訳であって、実体を愛していた訳ではないという所がポイントでしょう。

ただ、ボスからの連絡があれば、ジョイとの時間を残惜しむも任務を淡々とこなす「感情の高低をなくそうと努めている様」が見て取れました。

 

中盤の「K」の感情

Kの記憶についてグイグイと追っていく。

レプリカントは大人の状態で生まれてくるが、その際に子供の頃だった記憶を埋め込まれる。

この「記憶は作り物」と分かってはいながらもどこかリアリティがあって鮮明に思い出すように作られてあった。

 

Kの記憶は陰鬱とした記憶だった。

おもちゃの木馬を他の子供たちに取られないように炉に隠すというものだった。

その木馬には誕生日と思われる数字が刻印されている。

 

「白骨で見つかった妊娠したレプリカントの子供を追い、処理する」という任務を受けたKは

前半の女性が埋められていた木に見覚えのようなものを感じていた。

そして何かに引き寄せられるようにして木の根元に「木馬と同様の誕生日」が彫り込まれてあった。

 

 

偶然の一致だろうか?

分からないが、関係がないとも思えない。

この偶然が全て真実として重なるとどのような答えになるだろうか?

「自分はレプリカントの子供」という奇跡を体現した存在になるという事だ。

 

そうなった場合どうなるだろうか?

恐らく人間からすれば脅威以外の何物でもないだろう。

 

そう考えたKはまた感情を閉ざすことにした。

「俺はレプリカントだ、この記憶も偶然だ」

しかし、そんなKを揺さぶるようにジョイは言う。

「あなたは特別よ。夢ぐらい見ても良いんじゃないの?」

 

そんな言葉にも意に介さず、任務を続行する。

巨大なデータベースを保有する、レプリカント製造元のウォレス社に調査を行う。

しかし、「大停電」という事件が発生してから、古いレプリカントの情報のほとんどは抹消され、容易に終える状態ではなかった。

 

今度はレプリカントの白骨を元にDNAを使って消息を追うというものだった。

これが功を奏し、「同じDNAを持つ子供がデータベースに二人いる事が確認出来た」

男の子と女の子である。

 

つまりはどちらかが本当の子供でどちらかが偽物だ。

偶然にもそのデータは消失しておらず「女の子は死に、男の子は孤児院にいた形跡がある」という情報を入手し、都会から外れた孤児院に行く。

 

そして孤児院でKの記憶にあった「炉」を見つけてしまう。

(もしかすると、もしかするのか?と視聴者にも訴えかけてくる演出が幾度も入り、Kへの感情移入を促します。)

 

あのレプリカントの子供は自分なのか?と確信めいたものが芽生えてしまう。

その事の重大さから、ボス(ジョシ)にも報告出来ないでいた。

 

その後、記憶技師(博士?)に「この記憶は本物か」どうか尋ねる。

「この記憶は誰かの体験した本物」との返答を返される。

即ち、Kの記憶では無かったのだ。

そこでKの抑えに抑えていた感情が爆発する。

 

特別感と人生の転機

ブレードランナーはレプリカントがとにかく酷い扱いを受けます。

レプリカントは不満を持って、問題を起こしていくわけですが、Kの場合は後から不満を植え付けられたのです。

 

「自分は淡々と仕事をすれば良い」と思い込もうとしていたのですが、ひょんなことから「特別感」を得てしまったのです。

「もしかしたら俺はすごい存在なのかもしれない」そういう考えがふつふつと湧いてしまい、

心のどこかで思っていた、苦しく、価値を感じられないレプリカントという人生から解脱出来るかもしれない。

そう思ってしまった事によって感情が爆発したのです。

 

結局自分は何者でも無かった。

運命を変えるほどの能力は持たない。

何もない、ただの人の奴隷、レプリカント。

 

そうした「自分への期待」を裏切られたシーンは多くの人に刺さると思います。

夢が破れた時、社会に出て「自分の価値」がこんなものかと知った時、心に暗い影を落とします。

 

それは「自分とは何者であるか?」という問であると共に「自分の価値は何か?」という問を同時に投げかけられているような衝撃です。

明確な解答など誰も持ちません。

 

後半のKの感情

こっから先を書くのは無粋ってものですね。

さあ、映画館に行くんだ。

このレプリカントが何を思ったのかはぜひ考えてみて欲しい。

 

ジョイについて

Kに対して愛を伝え続ける存在です。

絶妙な距離感をもってKはジョイと接しています。Kからすれば愛すべき存在ですが、任務がある事と、

 

その感情はプログラムされたものなのでしょうが、彼女にとってはそれが本物で、Kにとってもそれは本物でした。

 

後半ジョイの位置探知機能を消すためにアンテナを折って欲しいとお願いされるシーンはAIの考えた最適解にしては短慮さがあって、なんとも人間らしいです。

AIが人間と同等レベルの事を考えだしたらもうそこには機械と人間の壁はなくなってしまうんだ、というようなメッセージにも取れます。

それにあんな斬新なベットシーンにも考えさせられました。

 

ジョシについて

本当に優秀で心があって勇敢な上司です。

仕事への熱意がありすぎて冷徹な人のように感じてしまうかもしれませんが、作中誰よりもレプリカントと人間の共存を愛した人だと思います。

 

そのために問題のレプリカントの排除に躍起になりますし、Kについて叱咤を行います。

「あなたに魂は必要ない」とKを切り捨てるシーンがありましたが、それはレプリカントがレプリカントを消す事に対する苦悩を考える必要は無い、とも解釈できました。

 

一緒にKの記憶を語るシーンも「Kを感情のあるレプリカント」として見るようなシーンが挿入されていてグットです。

 

別段シーンが多くのありませんが、この人から伝わる熱意や愛、それでいて冷静なところは憧れる所があります。

なんというかこの人好きです。私はこの人贔屓です。

 

余談ですが、見た目も性格もゲーム、メタルギアソリッド3の「ザ・ボス」に似ています。

小島監督が「ブレードランナー」好きだから、何かの因果があると思ったり。

 

デッカード刑事について

我らがハリソン・フォード。

前作「ブレードランナー」の主人公のデッカード刑事ですね。

元ブレードランナーです。こちらはKと違い人間ですよ。

 

中盤以降にしか姿を表しません、物語の重要なポジションに居るのに少し残念。

完全に人もレプリカントも寄せ付けない生活を送っており、ある辺鄙な地域に犬と暮らしています。

ですが「K」に巻き込まれ、事件の渦中に引き戻されます。つまりかわいそうな人。

 

レプリカントにも人間のように接しますが、情緒不安定なのか犬が居るはずなのに自宅にセンサー型の爆弾を設置してしまったり、生活行動に破綻が見られます。(惜しいなぁ)

ウォレスに精神的にいじめられたり、溺れかけたりと、基本的にひどい目にしか合いません。

 

ハリソン・フォード好きは少し残念な気分になるかもしれませんが、最後の最後で「ああ!」ってなるのでやっぱりこのポジション重要。

 

ウォレスについて

次世代型レプリカントの生みの親。

ウォレス社無しでは社会の形成は出来ないほどの賢威を感じる描写が幾度もなされていました。(今で言うとグーグルとか)

 

彼の考えは倫理観を超越していて、人類の進歩とかが重要だとしています。

人間は労働しない。

レプリカントが労働をする。

しかしながらレプリカントを「天使」と呼んでいたり、レプリカントが新たな人類となるとかなんとかで良くわからない人です。

「すごそう」なんですけど、その意図とか計画とかは闇の中です。

唯一わかっている事は、「レプリカントの子供が必要」であるという事。

 

もちろんレプリカントの量を増やすためだが、新たな人類として惑星を支配する人類として送り込むためとかに使うんじゃないかなーと予想。

この人テラフォーミングまで考えてそうですよね。

そんな目的の前には感情なんて不要。無駄。とか切り捨てていそうです。

 

ラブ

ウォレス曰く「最上の天使」。

新型のレプリカントです。

自分が「最上の天使」であることに誇りを持ち、他のレプリカントをも(もしくは人間)屈服させるウォレス社きっての実力者です。

特に語られていませんが、レプリカントの中でも特に性能が良いのでしょう。

 

潜入任務(二回)・ネイルアートを楽しみながら爆撃・追跡任務、そのどれもをこなしてのける鉄の女です。

 

冷徹無比にウォレスの指示に従うので、感情が無いんじゃないか?と途中まで見ていたのですが、最後には感情を露わにいたします。

特にジョシとの一騎打ちはグッときますね。

ラブも自分の立ち位置に思う所があるのですが、そんな感情を切り替えて任務に戻る様は「K」と重なります。

 

立場や状況の違う二人のレプリカントがそれぞれの考えに従い行動して物語を収束させていくのは、よく有りながらもキレイなまとまりを見せています。

 

まとめ

 

面白くないとか、世界観が変とか、そういう意見を耳にいたしましたが私はめっちゃ面白かったです。

 

世界観はある意味「ブレードランナーらしさ」であって、未来のリアリティがどうのこうの言うのはナンセンスですし、面白くないというのは「理解できなかった」からに他なりません。

登場人物の感情を追うだけでもかなり面白いので、「何が起こったの?」という部分も重要でしょうけど、「登場人物が何を考えたの?」って考えると楽しめると思いますよ。

 

まぁ、初見の人が観る映画にしては、謎オブジェ・謎演出過多だったのは否定しませんがね。

はい、反論終わり。

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